1/100でも、じゅうぶん甘いね。
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「あ、柑奈」
次の日の朝。
結局あれから、唯くんのメッセージに返信しないで寝てしまった。だって悲しかったから。
それでも全然気にしてないみたいに、なんの連絡もしてくれなかった唯くんにイライラしたり、悲しくなったり。
何度もスマホを見ては、ため息をついた。
落ち込んだまま学校に向かっていたら、後ろからかけられた声。
会いたかったけど、今は会いたくなかった。
……唯くん。
にこにこしながら私の隣に並んで、当たり前みたいに一緒に歩き出す唯くん。
私が怒ってることになんて気付いていないみたいだ。
「なあこれ、昨日見つけたんだけど、お前に似てねえ?」
昨日のことなんて無かったように、何も知らないみたいな唯くんは、バッグの中から小さめのウサギのぬいぐるみを取り出した。
「なに、それ……」
「柑奈に似てるなーと思って、UFOキャッチャーで取った」
そういう彼が持っているのは、ピンクのふわふわした、なんだかすごく眠そうな目のウサギのぬいぐるみ。
……なんか、バカにされてる。
私、こんな寝ぼけた顔してないよ。