1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「私、そんなにぼけっとした顔してないよ」
「いや、してるだろ」
いつもならからかってくる唯くんにも、笑って「ばか!」って言えるけど、今はそれも私のイライラを増やすだけで。
だって他の女の子と抱き合ってたくせに。
私のことなんて気付きもしなかったくせに。
いま口を開いたら、すごく嫌な言葉しか出てこない。
唯くんのこと、嫌になっちゃう。
そう思って、早足で唯くんから逃げるけど。
「何逃げてんだよ?」
いつも通りすぎる唯くんは、不思議そうに追いかけてくる。
「こ、来ないで……」
消え入りそうな声で呟いたのに、唯くんにはしっかり聞こえたらしい。