1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「──じゃあ逃げんな」
走り出せば、怪訝な顔をして追いかけて来る。
唯くんの足の速さに私が勝てるわけなくて、全力で階段を駆け上がったのに、屋上の前で逃げ場をなくした。
屋上は今は鍵が閉まっていて、唯一の逃げ道の階段には唯くん。
追い詰められた私は、その場に座り込んだ。
「なに怒ってんの?」
私の目の前にしゃがんで、目を合わせてくれる。
やけに優しいその表情に、涙で視界がぼやけた。