1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「唯くんの、ばか」
「は?」
「……見ちゃったもん、きのう」
もう逃げられないと観念して、ぽつりと呟く。
「女の子と抱き合ってたでしょ……」
そう口にしたら、急に悲しくなって。
昨日見てしまった光景が、まぶたの裏に焼き付いて離れないんだもん。
ふわっとした茶色い、柔らかい髪が、抱きつく女の子の髪と一緒に風に吹かれて揺れているところが。
私だけのものだったはずの腕の中に、他の女の子がいた光景が。
「……見てたのか」
なるほど、って顔する唯くんの顔を、見ることができない。
「……ごめん。告白されて、抱きつかれた」
きまり悪そうに、くしゃりと髪をかきあげる唯くん。私は何も言わずに俯く。
「……」
「不安にさせたよな、ごめん」
いつになく真面目な表情で謝るから、私もどうしていいか分からなくなる。