1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……唯くんは、抱きしめたの?」
「してない」
体育座りで、膝に顔を埋めたまま聞く。
唯くんがモテることなんて、分かってるよ。
唯くんが私のこと好きでいてくれてることも、昨日抱き合ってたことも、唯くんにとってはいつも通りにできちゃうくらい大したことじゃないことも、わかってるつもりだよ。
でも、その胸に、きのうは誰かがいたんだ。
唯くんの温かさを、きのうの女の子も知ってるんだ。
……私の、なのに。
そう思ったらどうしたって嫌で、また涙が滲む。こんなのただの意地っ張り。
唯くんにはどうしようも無かったこともわかってる。
唯くんが抱きしめ返してないことも、気付いてた。
唯くんがそんなことするわけないって、私がいちばん分かってる。