1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「浴衣着て来たんだ?」
そう後ろから声をかけてきたのは、なんだかいつも私に突っかかってくる唯くん。
……あ、この時はまだ「倉科くん」って呼んでたんだけど。
倉科くんとは席が近くて仲良くなったんだけど、いつもからかってくるし、後ろの席から髪とか引っ張ってくるし。
なんていうかこう、意地悪だ。
仲良くなれてはいる気がするけど、本当は嫌われてるのかなぁ、なんて少し不安になってしまったりしていた。
「う、うん……」
また何かからかわれるのかと思い身構えたのに。
「ふーん、似合うじゃん」
降ってきたのは、予想外に嬉しい言葉だった。
いつも意地悪な倉科くんの、ちょっと甘い言葉。
それだけで単純な私の胸は、きゅん、と音を立てて、甘く痺れるみたいに締め付けられる。