1/100でも、じゅうぶん甘いね。
そんな倉科くんの私服は初めて見るけど、モノトーンを基調とした大人っぽい服がとても似合っていて。
……そんなところが、むかつく。
「なあこのお面、お前みたいじゃない?」
電車から降りて、大きな神社で開催されているお祭りに来たら来たで、倉科くんはお面の屋台を指差して。
ぼけーっとしたアホ面のうさぎのお面を見せて、私に似てるなんてニヤニヤしながら言ってきたり。
焼きそばを食べている私に、「青のりついてるよ」なんてからかってきたり。
慌てて鏡を見たら青のりなんてついてなかったし!
倉科くん、今日はなんだかいつもより意地悪だ。
なんなの、本当になんなの。
「なあ百井、」
またしても話しかけてくる倉科くんに、「どうせまたバカにするんでしょ!」と無視を決め込む。
あー、この綿あめ美味しい。
倉科くんの呼ぶ声なんて聞こえない。
なんて思いながら歩いていると。
「……あれ?」
ふと周りを見れば、みんなの姿がなくて。
……うそ、はぐれた……?
倉科くんを無視することに意識を持っていかれて、みんなを見失ってしまった。
慌てて辺りを見回すけど、見覚えのある顔はなくて。
それでも溢れ返るほどの人混みの中、身動きすら取れない。