1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……りんご飴とか、好き?」
「へ……?」
なんで、りんご飴……?
唐突な質問に首をひねりながらも、好きだよ、と答える。
「……はい、これ」
倉科くんに差し出された、りんご飴。
「なんで……」
「さっき買った」
「……倉科くんの分じゃないの?」
「……お前が好きかな、と思って」
逸らした目とか。
ちょっと張り詰めた空気とか。
遠くに聞こえるお祭りの雑踏とか。
それに、りんご飴みたいな色の、倉科くんの頬とか。
なにこれ、こんな気持ち、知らない。
こんな倉科くん、知らない。
こんなキラキラしたきみ、知らないよ──……。