1/100でも、じゅうぶん甘いね。




ふたりきりなんて、ほとんど初めて。

それもこんな、星の綺麗な夜に。



人気の少ない閑静な住宅街を、並んで歩く。

ところどころ街頭に照らされる彼の横顔が、すごく綺麗で。

何か話そうとしても、なんて言っていいかわからなくて。

そう思ったらさらに緊張して、どうしていいかわからない。



人ひとりぶんくらいあいた距離に、息がつまる。



浴衣、崩れてないよね。

髪型とかメイクも、大丈夫だよね。



私なんでこんなに、緊張してるんだろう。





「お前さ、好きなやつとかいるの?」



「へっ……あ、わ、分かんない……!」




突然の質問に、混乱してしまった。

いやいや、どもりすぎでしょう。

こんなに慌ててたら、逆に怪しいし。


……ていうか、分かんないって何だ。




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