1/100でも、じゅうぶん甘いね。
「……ふーん」
「く、倉科くんは……?」
「──いるよ」
浴衣のせいで、いつもより歩きづらい。
それでも隣を歩いてくれる倉科くんは、いつもより歩く速度が遅い。
それだけのことに、些細な優しさに、どうしたって胸がきゅうっと締め付けられる。
……ねえ、知らないってば。
こんな感情、知らなかったよ。
「……私の、知ってる人?」
「うん」
だれ、なんだろう。
私、だったらいいのに。