1/100でも、じゅうぶん甘いね。
──キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムが鳴り、友達の優ちゃんが私の席にやって来た。
「始業式の日から授業とか、厳しすぎない?」
「だよねー、すごい眠かった」
そんな他愛のない話をしながら、教科書やペンケースを鞄に入れて、帰る支度をしていると。
「……百井」
呼ばれた瞬間、頭より先に胸がキュンと反応した。
「倉科、くん」
肩に鞄をかけて、まっすぐに私の目を見る倉科くん。
「今日、一緒に帰ろうぜ」
女の子にモテモテな倉科くんが、教室の真ん中でそんなことを言うから、女の子たちが黙ってるわけなくて。
「えー、倉科くん、私と帰ろうよ!」
「倉科くんから誘うなんてずるい!」
いつも、女の子に割とそっけない倉科くんだから。
断られるのが想像つくからと、女の子たちも今まであまり一緒に帰ろうと誘ったことがなかった。
それなのに倉科くんが自分から私を誘ったから、女の子たちもここぞとばかりに、倉科くんの腕をひく。