1/100でも、じゅうぶん甘いね。
その様子を見ているだけで、私の心にモヤモヤが復活する。
嬉しかった気持ちがどんどん雨雲に包まれて、きゅっと唇を噛んだ。
女の子に囲まれて、ヘラヘラしちゃって。
私の心、こんなに乱しておいて、何もなかったみたいな顔をして。
「……他の子と帰ればいいじゃん」
「え?」
「私、優ちゃんと帰るし!」
驚く優ちゃんの手を無理やり引いて、鞄を肩にかけて教室を出る。
優ちゃんは状況が把握できていないようで、困惑しながら私の顔を見た。
「ちょっと柑奈、いいの?」
「……いい」
「倉科くん、何か用があったんじゃないの?」
倉科くんなんか、知らないから。
他の女の子と帰ったって、別にいい。
「……よく、ない」
「柑奈?」
私に優しくしてくれたのは、特別なことじゃなかったのかな。
「……わかんない、ずるい……」
ポロポロと溢れる涙に、優ちゃんが慌てている。
ごめんね、びっくりさせて。
でも私が1番びっくりしてる。
私、涙が出ちゃうくらい、倉科くんのこと好きなの?