【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「それより、良いことばかりじゃないって?何か旅の途中であったりしたの?」
「まあ、そうっすねえ……言いたくないくらいのこともありましたよ。でも、どっちかって言うと、今日みたいな良いことの方が多いですけどね」
「ふうん。そっかそっか。まあ、そんな良い日になるか分からないけど……とりあえずコーヒーでも飲む?」
「コーヒー好きです!甘いのしか飲めませんが……」
「甘いのね」
私はソファーから立ち上がると、カップにドリッパーを置きフィルターを被せると、コーヒーの粉を多めに入れた。
若いし、濃い味の方が好きそうだもんね。
沸かしたお湯をゆっくりと注ぐとコーヒーの香りがふわっと部屋中に広がった。
「ああ……この香り嗅ぐと、実家思い出す」
「実家でもよくコーヒー飲んでたの?」
「親父がよく飲んでたんですよ。朝から晩まで常にコーヒーがお供みたいな人なんで」
清良君は、テーブルの上に置かれていた私のカップの中に入っていたブラックコーヒーを見て「親父もブラックが好きだったな」と、優しく微笑んでいた。
私はそんな清良君を見て、冷蔵庫から昨日お菓子作りをしていた時に余っていた生クリームを出して、濃いブラックコーヒーの上にたっぷりと山のように乗っけた。