【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「美晴ちゃん!!」
怒鳴り声のようなぴりっとした声に私も美晴ちゃんも肩がびくっと動き、足を止めた。
清良君の声は、そのくらい普段とは全く違ったものだったから。
美晴ちゃんは止めた足とは真逆に、ゆっくりと体をひねって声がした後ろの方を確認した。
「どこに行ってたんだ!心配したんだぞ!」
清良君は美晴ちゃんの肩を掴み、無理やり自分の体の方へ美晴ちゃんの体を正対させた。
そんな清良君がよっぽど怖かったのか、美晴ちゃんは下唇をぎゅっと噛みながら鼻で荒く息をしながら必死で涙をこらえているようだった。
「そんなに怒らないで。きっと何か理由があるんだよね?」
美晴ちゃんの目の高さに合わせてしゃがみ、手袋を脱いで手袋をしていない彼女の小さな手をとった。
自分の手の暖かさを美晴ちゃんに伝えたくて、両手でぎゅっと包み込んだ。
「……おばあちゃんの病院行きたかったんだよね?」
美晴ちゃんはこくんと首を下げ、美晴ちゃんの手を握っている私の手の上に何粒も涙を落した。