【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「ありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げて戻した美晴ちゃんのお母さんのメイクはボロボロで、とてもじゃないけれどいつものイメージとはかけ離れてしまっていた。
けれども不思議と今日の美晴ちゃんのお母さんは、今までのどの美晴ちゃんのお母さんよりもきれいだと思えた。
走って小さくいなっていく美晴ちゃんのお母さんの車を目で追いながら、そんなことを考えていた。
「二人どうやって帰る?送っていってもいいけど?」
そんな綺麗な思い出の1ページになるであろう感動場面を、拓海は見事に上から目線の俺様発言でぶち壊してくれた。
「ありがとうございます!助かります!」
そんな私のいらっとした思いを、この天使はさらっと受け流して返す。
「やっぱり拓海にしなくてよかったよ」
「何が?」
「別に……独り言」
そう言って笑いながら清良君を見ると、やっぱり清良君も同じように笑っていたので、二人で声を出して大笑いした。