【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。




拓海の車から降ろしてもらい、館長室の明かりだけがついた児童館の玄関を開けてもらおうとインターホンを鳴らそうとした時、その手を清良君に掴まれた。



「どう、したの?」



「俺、帰るよ。東京」



「うん……4月になったら帰るんでしょ?」



「そう思ってたんだけど……」



そう言って清良君は私の手を放すと、その手で鼻の頭をぽりぽりとかいた。



「俺さ、そういえば聞いたことなかったなって思ったんだ。その……何で後継がせたいんだって、親父に。親父も継げ継げ言うだけで、そんなの教えてくれなかったよなって。俺が美晴ちゃんを怒った時に彩音さんが言った言葉がひっかかってさ……それで……」



たどたどしく話す清良君は、とても不安そうで消えてしまいそうだった。



「自信なかったんだと思う、俺……」




しゅんとしっぽを下げるように頭を下げた清良君。

私は迷わずその頭を撫でた。
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