【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「話すと色々長くなるから、おいおいね」
千夏ちゃんは、「えー!超気になる~!」といつもよりも猫っぽい声を出しながら、両手を頬に当てて、館長室をじっと見つめていた。
「いじりたくなるような可愛さよね。うちの末っ子に似てるわ。三男かしら」
「いや、そこまではちょっと……甲本さん、あんまりいじめないでくださいね」
「あら!いじめないわよ~」
「そんなこと言って、この前職場体験に来た高校生の男の子泣かせてたじゃ~ん!」
千夏ちゃんが、三人の子どもを育て上げた、たくましい甲本さんの腕を指でつんとつついた。
「あれはあの子が悪いのよ。最近の子は礼儀がなってないんだから!千夏ちゃんもよ!言葉遣いに気をつけなさい!」
「はぁ~い。さ、掃除しよっと」
千夏ちゃんは、甲本さんにお小言を言われるのを悟ってか、茶色い軽くウエーブのかかった髪の毛を手首につけていたピンク色のシュシュで軽めに結うと、玄関の方へそそくさと行ってしまった。