【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
隣に座っている清良君は、まだ読んでいる途中なようで眉間に皺を寄せながら小説を読んでいた。
私は清良君のからっぽになったお皿と自分のからっぽになったお皿を手に持つと、立ち上がって、キッチンで余熱を覚まして置いたバナナマフィンを取りに行った。
「はい、清良君。おかわり」
バナナマフィンが乗ったお皿を、テーブルにトンとおくと、清良君は目線を小説の本の上に落としたまま「ありがとう」と言って笑った。
集中している清良君がなんだか可愛らしく見えた。
こうして、自分の好きなものを共有してくれる人がいるってことは、なんだかくすぐったくて嬉しい。
バナナマフィンのほんわかした甘さが、今の心地良い空気になんだか似ていて、ちょっぴりどきどきしている自分がいた。
……というか!なんでこんなことを考えてるんだ!
私は今浮かんだ考えを飛ばすようにしてぶんぶんと頭を横に振った。
それもこれも、こうしてソファーに隣同士で座っているせいだと思い、私は立ち上がって読んでいた小説を部屋の本棚に戻しに行った。
二冊目の小説を読んでいると、「うーん」と言いながら、清良君が背伸びをした。
リビングの大きなビーズクッションに座っていた私を見て、「この小説すごく面白かった!」と、興奮した様子で私に伝えてきた。