【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。

身長の大きな合羽男が頭一つ分違う32歳のおばちゃんに、髪の毛が鼻先をくすぐるくらい必死で頭を下げている。

そしてその頭を上げた合羽男の表情は、今ここで断ったら俺はのたれ死んじゃうよとでも言いたいような、悲しげな表情だった。



こりゃ犬だなと思った私は、その表情を見て反射的に「お手」と言って、手を差し出していた。



私は何をやっているんだと、後悔した瞬間「わん!」と私の手に手を乗せたのは、犬ではない、合羽男だった。


合羽男はにししと真っ白な綺麗な歯を見せながら、満面の笑みで笑っていたが、寒さのせいか、ハックションと大きなくしゃみをして鼻水をすすった。



「……お利口にするんならおいで」



「うおー!マジですか!?やったあ……ハーックション!」



呆れるほどの明るい乗りに、ついつい私も笑顔がこぼれた。

まあ、一晩だけだしね。

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