【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「美晴!!」
美晴ちゃんのお母さんが叫んだと同時に「彩音先生が!!」と言いながら、美晴ちゃんが顔をあげた。
そして、早口に信じられない言葉を言った。
「彩音先生が外で遊んでいいって言ったから遊んだら、汚れたの!」
「はあ!?彩音先生が?ちょっと、それどういうことですか!?」
美晴ちゃんのお母さんの怒りはすぐに私に向いた。
「こんな雪も解けて地面がぐちゃぐちゃの状態で遊ばせたら汚れるに決まってるじゃん」
「あ、あのっ!」
私は、立ち上がって答えようとしたけれど、色々な感情がぐるぐる回ってうまく言葉が出てこなかった。
美晴ちゃんが嘘をついたことは事実で……でもこの状態で今のが嘘だって言ったら?美晴ちゃんはどうなる?
私は美晴ちゃんの顔を見た。
美晴ちゃんは私を見ることもなく、ずっと視線を前に送ったまま。
その視線は、私も美晴ちゃんのお母さんも見ていなかった。
目は見開いて、どこか怒っているような怯えているような……その目には涙が溜まっていた。