【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。

「この雪は、あまり積もらないかな……でも長く降り続くと積もるかも」



清良君の質問に、アスファルトの上を風に乗って滑るように進む、小さな雪を見つめながら答えた。


私が普通に答えたことに安心したように、前を歩いていた清良君が立ち止まり振り返った。



「彩音さん、どうしてあの時泣いたの?何か言おうとしたよね?俺、彩音さんに何かした?」



清良君は眉間に皺を寄せて、不安そうにリュックのショルダーベルトを手袋をした手でぎゅっと握っていた。



「今の方が、そんなに切羽詰まっていないように思えるんだけど……」



「どういうこと?」



「さっき、美晴ちゃんが嘘ついたのにすごく平気そうにしてたから……私美晴ちゃんのついた嘘に戸惑ってうまく応えられなかったのに、清良君すっごく平気そうなんだもん」



「それはさ、自分の経験があったからっていうか……俺の親も厳しくてさ。結構怒る人だったから……怒られたくなくて俺も嘘ついてたことあったし。それにあの時は……」



そう言って清良君はハッとしたように口をつぐんで視線を泳がせると前を向いて歩きだした。


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