【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
6.嘘つきトイプードル
冷え切ったリビングを一刻も早く暖めたかった私は、ストーブのスイッチをつけカーテンを開けた。
冷えるはずだ。
外は一面真っ白で、「しんしん」という言葉がぴったり合うようなゆったりとしたスピードで、雪が地面に落ちていく。
薄暗い街を除雪車のオレンジ色の光が動き、ガタガタという機械音が響いていた。
窓の隙間からは、外の冷たい風が流れ込んできた。
私は、外の冷たい風が入らないようにもう一度カーテンを閉じて、部屋の電気をつけた。
洗面台に行き、鏡を見つめる。
昨日眠れなかったせいか、目の下にはクマが出来ていた。
タオルを水で濡らして電子レンジで温めてタオルを蒸して、ソファーに座ってそのタオルを目の上に乗せた。
じんわりとあたたかさが伝わってくる一方、私の胸は昨日のことを思い出してきゅうっと縮まった。
美晴ちゃんは、どうして嘘をついたんだろう?
私のこと嫌いだったのかな?
それとも清良君の言った通り、お母さんに怒られたくなくて嘘ついたのかな?
「清良君……」
昨日眠れなかった原因……それは、清良君へ抱いてしまった感情もあった。