【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「……うん……」
「ははっ。まあ仕方ないか。理由を言うとさ、撫でられると絶対嫌われてはいないなと直感で感じられるからなんだよね。気持ちをさらけ出してる感じで信じられるっていうのかな。そんな感じ」
清良君は歩道脇に積もった雪を手に取って、ぎゅぎゅっと雪玉を作りながら答えた。そして、
「本音なんていくらでも隠せるからさ。だから、彩音さんの行動は分かりやすくて安心する」
そう言って、作った雪玉を目の前に軽くひょいと投げた。
まただ。
きっとまた、清良君は寂しそうな顔をしている。
そんな気がした。
雪玉を作って赤くなった清良君の手。
その手を見ていたら、私は自然と手袋をしていた自分の手を清良君の手に重ねていた。
清良君の手をぎゅっと握って自分の手袋を片方脱ぐと、それを清良君に渡した。
「片方だけど……無いよりはいいと思うよ」
「ありがとう。手袋も買わなきゃね。彩音さんの手袋だとちっちゃいし」
清良君が履いた私の手袋は、清良君の手の半分くらいしか包み込んでいなくて、ぴちぴちで苦しそうだった。