【完】ワイルドなトイプードル系男子が可愛すぎます。
「そうですね。それまでは私が話しかけても無反応だったんですけれど……」
「なるほどね。美晴ちゃんは折り紙が大好きだし、もしかしたら自分が興味のあることに清良先生が反応を示したのが嬉しかったのかもね。そうね……それじゃあ今日から折り紙教室を図書室で開いてみましょうか。美晴ちゃんが興味を示すかどうかは分からないけれど、もし美晴ちゃんが折り紙教室に来たときは、積極的に折り紙の作り方を美晴ちゃんに聞いていくっていう関わりでいってみましょう」
「それだけでいいんですか?」
清良君が訊ねた言葉に江渡館長はにっこり微笑んで、「美晴ちゃんは、お母さんにあまり関わりを持ってもらっていないから、それだけのことがきっととっても大きいはずよ」と答えた。
その言葉を聞いて、また涙がこぼれてしまった。
私は、エプロンのポケットからハンカチを取り出して涙を拭いた。
江渡館長は机の上から箱ティッシュを取って、私の目の前に置いてくれた。
「ありがとうございます。申し訳ありません、なんだか昨日から涙腺が緩くなってて……」
「美晴ちゃんは幸せね。こうして自分のために泣いてくれる彩音先生が傍にいて」
江渡館長はそう言って、私に箱ティッシュの中からティッシュを数枚取って私に渡してくれた。
「そういえば、佐藤先生とのお話だけれど、私今日は出張があって一緒にいられないの。彩音先生、一人で大丈夫?」