エースとprincess
よしよし、駅どころか手前の交差点までしか来ていない。赤信号になってなにげなく仰ぎ見たら、瑛主くんはスマホの画面を見ていた。
え、まさかの歩きスマホ? 私の語り、聞いてなかったってやつ?
「少し飲まないか。しゃべりたりないだろ」
スマホで店を探していたらしく、私も何度か足を運んだことのある焼鳥屋さんが画面表示されていた。タレのかかったねぎま……生ビール……。
「ぜひ、お供させてください!!」
スイッチ入るよね、初夏の残業のあと、そんなおいしそうな画像見せられたら。スイッチ入るよね。
「っていうかあれですね! 今日の瑛主くん、ネクタイ素敵ですね! イケメンですね!! なんで気づかなかったんだろう」
「おい」
「信号右に行ってすぐ左、そのあとしばらくまっすぐです。さ、急いで」
「早っ。変わり身、早っ」
混んでいるかもと思うとき、周りの通行人も同じ目的地に向かっている気がしてくるのはなぜなんだろう……。
え、まさかの歩きスマホ? 私の語り、聞いてなかったってやつ?
「少し飲まないか。しゃべりたりないだろ」
スマホで店を探していたらしく、私も何度か足を運んだことのある焼鳥屋さんが画面表示されていた。タレのかかったねぎま……生ビール……。
「ぜひ、お供させてください!!」
スイッチ入るよね、初夏の残業のあと、そんなおいしそうな画像見せられたら。スイッチ入るよね。
「っていうかあれですね! 今日の瑛主くん、ネクタイ素敵ですね! イケメンですね!! なんで気づかなかったんだろう」
「おい」
「信号右に行ってすぐ左、そのあとしばらくまっすぐです。さ、急いで」
「早っ。変わり身、早っ」
混んでいるかもと思うとき、周りの通行人も同じ目的地に向かっている気がしてくるのはなぜなんだろう……。