エースとprincess
ヘッドフォンをつけなおしつつ、私はリモコンを操作する。
「もうちょっとでこれ終わるから。そしたら……」
「寝るとか言わないだろうな。終電、間に合うだろ」
「うん、間に合うからもうひとつ観ていく」
「おい」
「と言いたいとこだけど」
思い出した。
「明日飲み会あるんだったわー。今日のところは帰ろうっと」
使っていたリモコンやら食べたあとの皿やら空き缶、あれこれをもとの場所に戻して、荷物をまとめた。
「飲み会が早く終わったらまた来るね」
「はあ?」
「あっこれまだ食べてなかったの? だめだよ食べるもの食べなきゃ」
絵仕事に夢中になると食事を忘れるナオに、牛丼を押しつける。これも遊びにきたときの大事な用件だ。私のぶんと一緒に買った温野菜のサラダも横に置く。
総菜コーナーの食べ物は口に合わないと言うので、差し入れはどうしてもファストフードになってしまう。普段からおいしそうなものを見ておかないと漫画に登場する料理が貧相になるよ、と私がさもわかったふうな物言いをしたのが効いたのか、近頃ではプラス一品で用意されたお総菜も食べてくれるようになった。
「じゃあね、また明日来るから」
返事はなかった。来るなと言われなかったから、また来てもいいということなんだろう。
だけどその翌日、私は約束を破った。
「もうちょっとでこれ終わるから。そしたら……」
「寝るとか言わないだろうな。終電、間に合うだろ」
「うん、間に合うからもうひとつ観ていく」
「おい」
「と言いたいとこだけど」
思い出した。
「明日飲み会あるんだったわー。今日のところは帰ろうっと」
使っていたリモコンやら食べたあとの皿やら空き缶、あれこれをもとの場所に戻して、荷物をまとめた。
「飲み会が早く終わったらまた来るね」
「はあ?」
「あっこれまだ食べてなかったの? だめだよ食べるもの食べなきゃ」
絵仕事に夢中になると食事を忘れるナオに、牛丼を押しつける。これも遊びにきたときの大事な用件だ。私のぶんと一緒に買った温野菜のサラダも横に置く。
総菜コーナーの食べ物は口に合わないと言うので、差し入れはどうしてもファストフードになってしまう。普段からおいしそうなものを見ておかないと漫画に登場する料理が貧相になるよ、と私がさもわかったふうな物言いをしたのが効いたのか、近頃ではプラス一品で用意されたお総菜も食べてくれるようになった。
「じゃあね、また明日来るから」
返事はなかった。来るなと言われなかったから、また来てもいいということなんだろう。
だけどその翌日、私は約束を破った。