エースとprincess
正直、上の空だった。あまり記憶にない。でも言うには言った。言おうと思った。真剣になっていた。誓えば、形だけでも誓えば、茶化さなければ、それは本当に誓いになるかもしれない。お願いだから冗談にしないで。すがるように思った。
「姫里」
呼ばれただけで泣きそうになる。欲しい言葉しか聞きたくない。風が強くて、乱れた髪を抑えると、肘のあたりに手が伸びてきて、だけどそこから触れることなく引き戻された。意図を追うように私は目線をあげる。
瑛主くんはそんな私の一部始終を余さず捉えていたのかもしれない。表情が優しく緩み、注意を引かれて意識をそちらに向けていたらいつのまにか伏し目がちな瑛主くんが迫ってきて、傾いたその顔がぐっと近くなった。来る、と思った。目を閉じた。
「姫里」
呼ばれただけで泣きそうになる。欲しい言葉しか聞きたくない。風が強くて、乱れた髪を抑えると、肘のあたりに手が伸びてきて、だけどそこから触れることなく引き戻された。意図を追うように私は目線をあげる。
瑛主くんはそんな私の一部始終を余さず捉えていたのかもしれない。表情が優しく緩み、注意を引かれて意識をそちらに向けていたらいつのまにか伏し目がちな瑛主くんが迫ってきて、傾いたその顔がぐっと近くなった。来る、と思った。目を閉じた。