君と僕と
僕はその時、どうして別れなくてはいけなかったのかと疑問に思っていた。
彼女は別れ際で
「私のこと好きじゃないよね」
と、呟き去っていったのは今でも鮮明に覚えている。
確かに僕は高梨さんのことが好きだった。
しかし、僕にはやりたいことが出来、彼女のことを若干放置気味になっていった。
以前、デートで高梨さんはこう言っていた。
「兎って寂しいと死んじゃうんだって…そんな人生は嫌だよね…」
しゅんと眉を潜めて言った。
「そうだね…じゃあ、兎と君は似ているね」
と、僕は言ったのを覚えている。
あれは冬の時期、付き合いたての話である。