傷痕~想い出に変わるまで~
ベッドの上でうっすらとまぶたを開いてぼんやりしていると、何度目かの着信があった。

さっきから一体誰だろう?

よほど大事な用なのかな。

観念して起き上がりモソモソとカーペットの上を這ってスマホに手を伸ばした。

ボーッとしながら鳴り続けるスマホの画面に映し出された発信者の名前を見た途端、目が大きく開いた。

わっ…光からの電話だったんだ。

休みの日なのに何度電話しても出ないって心配してるかも。

「もっ…もしもし…。」

慌てて電話に出ると、電話の向こうで光が少し笑った。

「おはよう瑞希。もしかしてまだ寝てた?」

「あ…うん、寝てた。夕べ遅くまで起きてたから。」

「そうか、起こしてごめん。でももうお昼だよ。」

壁時計を見ると時刻はもうすぐ12時になろうとしている。

「一緒に昼御飯でもどうかと思って電話したんだけど…ダメかな。」

また誘うって言うのは本気だったんだな。

それにしても弱気なお誘いだ。

この間誘ってもいいかと聞かれた時にハッキリ返事をしなかったから?

「今起きたところだし…すぐには無理だけど…。」

「いくらでも待つから、会ってくれると嬉しい。」

朝方まで深酒をした私の顔はきっと今ひどい状態なんだろうけど…。

優しい声で弱々しくそんなこと言われると、とてもイヤとは言えない。

「……うん、わかった。これから急いで用意する。」

「慌てなくていいよ。用意できたら電話して。」





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