傷痕~想い出に変わるまで~
一度起き上がるとまた横になる気にはなれなくて、やっぱり朝食の支度をすることにした。

ベッドの縁に腰掛けて着替えの入ったバッグを漁っていると、後ろから腰に手が回された。

「瑞希…おはよう…。」

光はまだ眠そうな顔をしている。

「まだ早いよ。もう起きるの?」

「目が覚めちゃったから朝御飯でも作ろうかと思って。」

洋服をバッグから出しながら答えると、光は私の腰に頬をすり寄せた。

「休みの日くらいもう少し一緒にゴロゴロしていようよ。」

夕べ途中でやめてしまったから仕切り直したいのかな。

だけど私はそんな気分じゃない。

「でもお腹空いたし。」

本当はお腹はそんなに空いていない。

ただその気になれないだけだ。

「瑞希…もう少しだけ。ね?」

光は少し起き上がり、甘えた声でそう言って私を後ろから抱きしめ、首筋や耳元に何度もキスをした。

抱きしめていた腕がほどけて私の胸元を撫でている。

どうにかして私をその気にさせたいらしい。

男の人って、そんなにしたいものなのかな?

どうしたものかと困っていると、光はガバッと起き上がって私を布団の中に引っ張り込んで押し倒した。

「一緒にいられる時くらいはもっと瑞希とくっついてたい。ダメ?」

「ダメじゃないけど…。」

「じゃあそうしよ。」

何度もキスをされて肌に触れられているうちに私の息遣いが少しずつ荒くなって、微かに声がもれた。

私に触れる光の手付きがどんどん艶かしくなっていく。

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