傷痕~想い出に変わるまで~
依存
休み明けの月曜日。

朝から気分が重い。

出張から戻った門倉が今日からまたいつも通り出勤している。

今朝廊下ですれ違った時、門倉は見事に私をスルーした。

まるで私の存在なんかここにないみたいに。

仕方ないとは思うけど、やっぱり寂しい。

ずっと避けられていたけどまた前みたいに普通に話せるようになったのも束の間、今度は前より状況が悪い。

今度こそもう門倉とは決別かな。

やっぱり門倉との焼肉の約束は果たせそうもない。



昨日の帰り際、今週から仕事が忙しくなるので更に帰りが遅くなりそうだと光に伝えた。

光は少し寂しそうな顔をして、仕事なら仕方ないなと呟いた。

休みの日には多分会えると思うし、平日は少しだけ我慢してもらおう。


オフィスではオリオン社担当のグループと、新しいクライアントのホシザキカンパニーの仕事に取り掛かるグループがそれぞれ慌ただしく行き来している。

ホシザキカンパニーのイベントは若者向けの夏のイベントで、企画書を手に部下たちがああでもないこうでもないと頭を悩ませている。

ターゲットは若いカップルだから、7割方が女性を喜ばせるような企画になるだろう。

さて、今度はどんな企画が飛び出すのか。

今から企画会議が楽しみだ。


お昼になる少し前、部長から会議室に呼び出された。

部下たちに指示を出して会議室に足を運ぶと、そこには同じように呼び出されたであろう門倉もいた。

なんだか緊張する…。

門倉は私の方を見もしないけれど。


< 186 / 244 >

この作品をシェア

pagetop