傷痕~想い出に変わるまで~
1年前、光の1周忌で藤乃と会った。
藤乃と会ったのは大学卒業以来だったと思う。
法要の後で思い切って声を掛け、近くの喫茶店に入って話をした。
私と付き合う前から光のことが好きだったと藤乃は言った。
私と光が結婚して夫婦関係がうまくいっていなかった時、藤乃は光からいろいろと相談されていたそうだ。
“私から誘ったの。やっぱり好きであきらめられなかったから”
友人の私に対する良心の呵責より光を奪いたいという気持ちがどんどん強くなって、何度も光を誘惑したと藤乃は言った。
最初のうちは拒んでいた光も、私との夫婦関係がうまくいかないことへの不満やストレスが溜まり、私への当て付けのような気持ちで藤乃の誘いを受け入れたんだそうだ。
“だけど光は私の向こうにいつも瑞希を求めてたんだと思う。何度も瑞希と呼び間違えられたし、私のことが好きだとは一度も言ってくれなかった”
二人は私たちの暮らしていた部屋で何度も抱き合っていたらしい。
“光はきっと瑞希に止めてもらいたかったの。泣いて怒ってうろたえて愛してるから行かないでって言って欲しかったんだと思う”
私の愛情を確かめたかったんだろうと藤乃は言った。
藤乃と会ったのは大学卒業以来だったと思う。
法要の後で思い切って声を掛け、近くの喫茶店に入って話をした。
私と付き合う前から光のことが好きだったと藤乃は言った。
私と光が結婚して夫婦関係がうまくいっていなかった時、藤乃は光からいろいろと相談されていたそうだ。
“私から誘ったの。やっぱり好きであきらめられなかったから”
友人の私に対する良心の呵責より光を奪いたいという気持ちがどんどん強くなって、何度も光を誘惑したと藤乃は言った。
最初のうちは拒んでいた光も、私との夫婦関係がうまくいかないことへの不満やストレスが溜まり、私への当て付けのような気持ちで藤乃の誘いを受け入れたんだそうだ。
“だけど光は私の向こうにいつも瑞希を求めてたんだと思う。何度も瑞希と呼び間違えられたし、私のことが好きだとは一度も言ってくれなかった”
二人は私たちの暮らしていた部屋で何度も抱き合っていたらしい。
“光はきっと瑞希に止めてもらいたかったの。泣いて怒ってうろたえて愛してるから行かないでって言って欲しかったんだと思う”
私の愛情を確かめたかったんだろうと藤乃は言った。