傷痕~想い出に変わるまで~
約束
翌週月曜日。
午後からの会議を3時頃に終えて二課のオフィスに戻ろうとすると後ろから肩を掴まれた。
私の肩を掴む者なんて他にいないから、このデカイ手が誰のものかなんて振り返らなくてもわかる。
「門倉課長ー、そんなに強く掴まれると痛いんですけど。」
「おまえ背中に目でもあんの?」
振り返ると門倉が不思議そうな顔をしていた。
「見なくてもわかりますー。それでなんの用?」
「タバコくれ。今朝通勤中に買ってくるの忘れた。」
「あげるからコーヒーおごって。」
「おー。じゃあコーヒー買って喫煙室行こう。」
自販機のそばまで来た時、飲料メーカーの台車が置いてあることに気付いた。
もしかしなくてもこれは…。
「門倉…私やっぱりコーヒーはいいかな…。」
思わず後退りしかけた私の腕を門倉が掴んだ。
「また逃げるのかよ。」
「だって…。」
「どっちにしたってここ通らないと喫煙室にも行けないし、自分の課にも戻れないだろ。自分の会社なんだから堂々としてろ。コーヒーくらい普通に買いに行けばいいんだよ。」
門倉の言いたいことはわかるけど、この間の別れ際のことを思い出すと、やっぱり気まずくて足が前に進まない。
「俺がいるから心配すんな。なんかあったら助けてやる。」
今そんなイケメンみたいなことを言われても…!
元はと言えば私を光と会わせたのは門倉だって言うのに!
有無を言わさず腕を掴まれたまま引きずられるようにして自販機の前に連れていかれた。
自販機の扉を閉めて光が振り返る。
「あっ…瑞希…と、門倉さん…。」
午後からの会議を3時頃に終えて二課のオフィスに戻ろうとすると後ろから肩を掴まれた。
私の肩を掴む者なんて他にいないから、このデカイ手が誰のものかなんて振り返らなくてもわかる。
「門倉課長ー、そんなに強く掴まれると痛いんですけど。」
「おまえ背中に目でもあんの?」
振り返ると門倉が不思議そうな顔をしていた。
「見なくてもわかりますー。それでなんの用?」
「タバコくれ。今朝通勤中に買ってくるの忘れた。」
「あげるからコーヒーおごって。」
「おー。じゃあコーヒー買って喫煙室行こう。」
自販機のそばまで来た時、飲料メーカーの台車が置いてあることに気付いた。
もしかしなくてもこれは…。
「門倉…私やっぱりコーヒーはいいかな…。」
思わず後退りしかけた私の腕を門倉が掴んだ。
「また逃げるのかよ。」
「だって…。」
「どっちにしたってここ通らないと喫煙室にも行けないし、自分の課にも戻れないだろ。自分の会社なんだから堂々としてろ。コーヒーくらい普通に買いに行けばいいんだよ。」
門倉の言いたいことはわかるけど、この間の別れ際のことを思い出すと、やっぱり気まずくて足が前に進まない。
「俺がいるから心配すんな。なんかあったら助けてやる。」
今そんなイケメンみたいなことを言われても…!
元はと言えば私を光と会わせたのは門倉だって言うのに!
有無を言わさず腕を掴まれたまま引きずられるようにして自販機の前に連れていかれた。
自販機の扉を閉めて光が振り返る。
「あっ…瑞希…と、門倉さん…。」