俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
ホームルームが終わると、先生がいなくなった途端、待ってました!と言わんばかりの女子たちがいっせいに大地の机を取り囲む。
「ねぇ、彼女いるの?」
「背高いよね。何センチあるの?」
「ライン教えて?」
あんたたちは、芸能人を囲み取材する報道陣かっての。
大地の席からは3つ前に座る私の場所まで聞こえてくるし。
ほんとうるさくてたまらない。
私は机の中から読みかけの小説を取りだし、しおりを挟んであるページを開く。
だけど。
ダメだ。うるさくて内容が全然頭に入ってこない。
耳栓代わりにイヤホンをつけ、ボリュームをあげる。
それでも、やっぱり落ち着かないのは。
きっと、大地が突然目の前に現れたりするからだ……。
だから……
「へぇ、俺もこの人の曲好き」
あれ?なんでだろ。
イヤホンしてるのに、人の声がすぐ近くで聞こえてくる。
「音楽の趣味、合うね?」
誰に話してるんだろう?
近くにカップルでもいるのかな。
そう思い、チラッと横を向いた、そのときだった。
……え!?
思わず悲鳴をあげそうになるのをぐっとこらえる。
なんで、大地がここにいるの!?
もしかして、今私に話しかけてたってこと?