俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~



「あぁ、食った食った!」



自分のおなかを軽くたたきながら、満足そうな表情を浮かべる大地。


大地は、私の作ったカレーを“うまい、うまい!”と言いながら3回もおかわりしてくれて。



「美月は料理の天才だなっ!」



なんて、嬉しいことまで言ってくれる。



「大地って、おだてるの上手いよね」



そんなに褒めてくれると、明日は何を作ろうかな?って、毎晩の献立を考えるのも楽しくなってくる。



「俺は思ったことを言ってるだけ」



そういえば、前にもそんなことを言っていたよね。



“俺はお世辞は言わないから”


“思ったことを口にしちゃう性格なだけ”だって。


それでも、再会したばかりのころは、スキンシップも多くて、恥ずかしげもなく甘いセリフを吐く大地のことを、ほんとはルックスがよくてモテるのをいいことにチャラ男にでもなっちゃったんじゃないかって内心疑ってた。


でも、こうして一緒に住み始めてから、それは私の思い違いだったことに気づいた。


大地は、いつも、思ったことをまっすぐに伝えてくれているだけなんだ……。
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