俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~



けど、“助けて”って言われてもな。


俺、カオリちゃんて子のことも、シオンちゃんて子のこともあんまり知らないんだよな……。



「あいみん。カオリちゃんとシオンちゃんと喧嘩でもしちゃったの?」



タケルは、少し離れたところで席をくっつけてふたりだけでお弁当を食べているカオリちゃんたちと愛美ちゃんを交互に見ながら言った。



「実は、あたしが修学旅行の班でタケくんたちと同じ班になったのが相当気に食わないみたいで……」


「はぁ?そんなことで?あいみんたち仲良しだったのに、女の子って難しいね」


「タケくんたちは女の子から人気があるから、みんなに羨ましがられちゃうのはわかるんだけど、まさか親友だと思ってたあのふたりにまでそれが原因でハブられちゃうなんて、そのことが本当にショックで……」



愛美ちゃんはグスン、と鼻をすすりながら、泣き出してしまった。


愛美ちゃんの話を聞いたら、女の子って大変なんだなってほんと思う。



「元気だせって、あいみん。あいみんには、俺たちがいるからさっ!」


「うん。ありがとぉ、タケくん」


「それに、女友達なら、菜乃ちゃんだって美月ちゃんだっているじゃん!だから、」



タケルが話していた、その時だった。



──ガタッ!



それまで、端っこに座りながらずっと黙々と弁当を食っていた美月が、急に椅子から立ち上がった。



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