俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


教室に戻ったのは、昼休みが終わる直前だった。


愛美ちゃんと一緒に教室の前のドアから入ると、美月はすでに自席につき、いつものようにイヤホンをしながら小説を読んでいるみたいだった。


だけど、ふと顔をあげた美月と目が合う。


その瞬間、ハッとしたようにすぐにそらされた視線。


なんでそんなあからさまにそらすんだよ……。


すると、横から愛美ちゃんに制服の袖を引っ張られて。



「ねぇ、大地くん。さっきのことだけど、また何かあったら相談させてね?」



困り顔で上目遣いで見上げてくる。



「……おう」


「よかった!やっぱり大地くんは優しいねっ♪」



愛美ちゃんはそう言って微笑むと、先に自席に戻って行く。


俺も遅れて自席へと向かう途中、美月の近くを通ると。


小説を読んでいるはずなのに、なぜか美月の目は泳いでいた。

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