俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
「次、黒橋」
「はいっ!」
先生に名前を呼ばれた愛美は立ち上がると、おしりについた砂を払い落とし、スタートラインに立つ。
「あいみん、がんば~っ!!」
“あいみん”ていうのは、男子が愛美につけた愛称で。
「ありがと~♪がんばる~ぅ!」
愛美は男子たちの声援に甘ったるい声で手を振りながら答えると、ニコニコと愛想をふりまいていた。
愛美は、自分が可愛いことも。スタイルがいいことも。男子からモテることも。十分すぎるほどよくわかっている。
綺麗な栗色の髪は、その日によって巻いたりストレートにしたり、ヘアアレンジのバリエーションも豊富だし。
メイクだって手抜きすることなく常にバッチリ。
女子力が高い愛美は、人より何倍も可愛い自分でいる努力をしてると思う。