俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
「そういや、あいみんも最近元気ないけど、まだシオンちゃんたちと仲直りしてないのかな」
タケルくんがデザートのプリンを食べながらそんなことを言い出した。
「美月ちゃんと菜乃ちゃんは、愛美ちゃんからなんか聞いてたりしない?」
首を傾げ、私と菜乃花を交互に見ながら聞いてくるタケルくん。
けど、そんなこと私が知るはずがないでしょ?
心の中で呟いていると。
「……実は、愛美ちゃん。シオンちゃんたちに嫌がらせされてるみたいなの」
菜乃花は、困ったように自分のお弁当を見つめながらポツリとこたえる。
っていうか、それ本当なの?
「菜乃ちゃん。それ、マジ?」
目を丸くして驚くタケルくん。
「……うん。ほら、ここ見て?」
そう言うと、愛美の席に座っていた菜乃花は自分のお弁当箱をずらすと、ある一か所を指さした。
「え?どれ?よく見えないんだけど」
菜乃花の前に座っていたタケルくんは身を乗り出して机に目を凝らしている。
「ほら、ここだよ。ここに、“死ね”って彫ってあるの」
……え?
物騒な用語が飛び出して、私も隣から机を覗きこんだ。
……ほんとだ。
目立たないけど、たしかにそこには“死ね”という文字が刻みこまれていた。