俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
「俺、ちょっとシオンちゃんたちのとこ行ってくるわ」
「おい、タケル。待てって」
食べていたプリンをドンッと机に置くと、タケルくんは勢いよく椅子から立ち上がる。
それを止めようとする要くん。
だけど。
「要、離せって。知った以上、このまま見てみぬフリはできないっしょ」
そう言うと、タケルくんは教室の後ろのほうでお弁当を食べているシオンとカオリのところへ向かっていく。
「シオンちゃん。ちょっと今いいかな」
タケルくんに突然声をかけられたシオンは、おもいっきり驚いた顔をしている。
「……えっ?あ、あたしっ!?」
好きな人に声をかけられたら、誰だって驚くし動揺するよね。
シオンの顔は、わかりやすいくらいに真っ赤に染まっていた。
そのとき、ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
教室には、ぞろぞろとクラスメートたちが帰ってくる。
教室の真ん中で、女子から人気があるタケルくんがシオンに声をかけてるとなれば、周りの女子たちが注目しないはずもなく。
おまけに、タケルくんの声はよく通る声をしてるから、ハッキリと聞こえてしまう。
「シオンちゃん、どんな理由があれ、嫌がらせはよくないっしょ」
だから、その声も周りにいたみんなに響いてしまっていたんだ。