俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
「……大地っ!」
俺の顔を見た瞬間、美月の表情が安堵したように見えた。
「なんなん?同じ高校の子?」
美月の前に立っていた茶髪の男がへらっとした薄ら笑いを浮かべながら俺を見ている。
「その子、俺の彼女なんで」
「へぇ、そうなん?だから何?」
「は?」
だから何って、どういうことだよ。
「は?じゃないやろ、俺らキミたちより年上やで?」
うわ、すげーめんどくせーヤツらに捕まったかも。
「せっかくこんな可愛い子に出会えたのに、そう簡単に返せるかいな」
ニヤリ、と意味深な笑みを浮かべるのは、美月の隣にいるピアスジャラジャラ男。
美月は不安そうに俺のことを見ている。
すると、美月の前にいた男が俺の前までやってくると。
俺の顎を指先でクイッと持ち上げてきて。
「よく見たら、男のくせに無駄にキレイな顔してはるなぁ……」
は?
なんなんだよ、コイツ。
そう思った次の瞬間、
「ムカツクわ」
男はそう言い捨てると同時に、俺の顔にツバをぶっかけてきた。
「ハハハッ!いい気味やわ!」
それを見て、男はバカにしたように俺を指差しながら笑っている。
……ふざけんなよ、マジで。
殺気立って、たこ焼きが入った袋を握りしめる手に力が入る。