俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


「ちょっと!大地になんてことすんのよっ!」



それを見ていた美月が、慌てて俺のもとへと寄ってこようとする。



「美人で気が強いとか、そそるなぁ~。けど、そっちには行かさへんで?」



美月の隣にいた男は、すかさず美月の腕を捕らえると、ひとけの少ない路地裏へと無理矢理連れて行こうとしている。



「やだ!離してっ!」


「美月っ!!」



美月を取り返そうとする俺に、ツバを吐いてきた茶髪男が俺の腕を掴んできた。



「そうはさせへんで?」



ニヤリ、と不気味に笑う男に鳥肌が立つ。



「ふざけんな!」



俺は、買ったばかりのたこ焼きの袋から手を放し、捕まれていないほうの腕で相手の男の腕をひねりあげる。



「イテテテテテッ!何するねん!」


「それはこっちのセリフなんだよ!」



相手のミゾオチに一発お見舞いしてやると、男はその場に倒れ、えびのように身を丸めて痛みに悶絶していた。


それから、今度は美月を連れて行ったもうひとりの男のところへ急ぐ。

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