俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


「はぁ!?愛美ちゃんが急にいなくなって、俺らみんながどんだけ心配してたかわかってんの!?」



タケルの顔からはさっきまでの笑顔はすっかり消え、怒りを露にする。



「えー、ウソー!みんなあたしのこと心配してくれてたの~!?」



まさに、オーバーリアクション。


その態度、ふざけてんの?



「じゃあ、逆に聞くけど、タケルくん以外のみんなは、あたしがいないことにいつ気づいたの?」


「…………」



その質問をされたとたん、自然とみんなはうつむき加減になる。



「うわー、傷つくなぁ。どうせ、帰る時間になるまで気づかなかったってことでしょ?」



てっきり、愛美ちゃんはタケルと一緒にいるもんだとばかり思ってたからな……。



「あたしがいないほうが、むしろ美月にとっては都合よかったんじゃないの?」


「……どういうこと?」


「とぼけないでよ。大地くんとの仲を邪魔されずにすんでよかった、って。ほんとは心のなかでホッとしてたくせに!」



は?なんなんだよ。


愛美ちゃんは、美月にケンカふっかけたいわけ?


そのときだった。



「ふざけんなよ!!」



タケルの怒声が響き渡り、一瞬にしてはりつめる空気。



「連絡しても繋がんねーし、愛美ちゃんが迷子になってないか、ナンパされて連れてかれたりしてないかって、美月ちゃんも菜乃ちゃんもすっげー愛美ちゃんのこと心配してたのに、そんな言い方ないだろ!!美月ちゃんなんか、泣いてたんだからなっ!!」



……タケルが、キレた。


こんなタケル、初めてだった。



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