俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
私のことを“美月ちゃん”なんて馴れ馴れしく呼んでくる人物は、ひとりしかいない。
顔を上げれば。
「こんなところで美月ちゃんに会えるなんて、今日は超ツいてるなぁ~!」
目があった瞬間、タレ目で子犬みたいな二重の目をクシャッと細めて笑う目の前のこの人は。
3年生の、三浦ノゾム先輩だ。
大地と同じくらい背があって。
ゆるいパーマがかかった、柔らかそうな茶髪。
制服は着崩し、いかにもチャラそうな風貌。
三浦先輩は、読者モデルもしていて、うちの学校だけでなく、他校の女子からも人気があることで有名な人。
「ねぇ、美月ちゃん。もしかして、席探してる?」
「……はい、」
「なら、俺らちょうど食べ終わったとこだから、ここ座んなよ」
三浦先輩はそういってすぐ近くの席を指差した。