俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~




「中学に入学する直前、親の離婚で田舎から東京に引っ越してきて、知り合いなんて誰ひとりいなくて、そんな中、同じクラスの美月に出会ったときの衝撃は今でも忘れられない」



……衝撃?



「私と違って垢抜けてるし、男子からも人気があるし、いつも友達に囲まれて楽しそうにしてる美月がうらやましかった」


「……」



出会った頃の愛美のことを思い出す。


そういえば、あの頃の愛美は、今の姿からは想像もできないくらい、真面目で目立たないタイプだった。


周りに知り合いがいない環境からのスタートだったのも関係してるのかもしれないけど、最初の頃は、よくポツンとひとりでいたよね。



「美月に少しでも近づきたくて、同じ陸上部にも入部した」


「……っ!」



入部理由を聞いてびっくりして言葉がでなかった。



「部活でも、美月はみんなから慕われてたよね。ある時、噂で聞いちゃったの。同じ部活であたしが密かに好きだった人も美月のことが好きだって……」


「……」


「そのとき、本気で美月になりたいと思った。美月に似せるために、可愛くなる努力もダイエットも頑張ったし、友達作りも自分なりに頑張ってたつもり」



そういえば、急に雰囲気が変わった時期あったよね。


あれは、そういうことだったんだ……。



「そのうち、美月の居場所にあたしがいたいと思うようになった」


「……っ!それで、私から大事なものを奪っていったっていうの?」



友達も、信頼も、居場所も全部……。






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