俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
「あ~!もう美月のせいでアイライン落ちちゃったじゃない!」
美意識が高い愛美は、ブレザーの胸ポケットから取り出した小さなミラーを覗き込み、私を軽くにらんでくる。
「それに比べて、美月は泣いても変わらないなんて、ほんとムカツクよね」
「愛美と違って、私はメイクしてないだけ」
「それがムカツクって言ってんの。メイクなんてしなくても、美月は十分だもんね!やっぱりムカツク!」
……ムカツク、ムカツクってなんなのよ、ほんと。
でも、それが、素直じゃない愛美なりのほめ方なんでしょ?
愛美が鞄からメイクポーチを取り出し、メイク直しをしてると。
──トントン。
部屋のドアが叩かれた。