俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
その席には、三浦先輩同様、制服は着崩し、明るい髪色をした派手な容姿の男女ふたりずつが座っていて。
女子の先輩たちは、私のことを気に食わないらしく、睨むような目付きで見ている。
すると。
「あっ!ノゾムがお気に入りの美月姫じゃーん!」
その中のひとり、金髪男子が私を見て声をあげた。
ここにもまた、私のことを変な呼び方してくる人が一名……。
「どうだ、今日も可愛いだろ~?」
「……っ!?」
三浦先輩は、金髪男子に見せつけるようにして、いきなり私の肩を抱いてきた。
なんなの、この人!
「放してください」
私は自分の肩に置かれた先輩の大きな手を取ると、すぐにその手を力ずくでおろした。
「そんな嫌そうな顔しないでよ。ごめんね?美月ちゃん」
今度はグッと顔を覗き込むようにして近づけてくるし。
「先輩、近すぎです」
そっけなくそう言うと。
「うん。わざとだよ?」
「はい?」
何を言ってるんだ、この人は。
「美月ちゃんがちょっとでも俺にドキドキしてくれないかな~と思って」
そんなことを言いながら、ニコッと笑う三浦先輩。
巷では、三浦先輩のこの笑顔を“キラースマイル”と言うらしい。
これまで、その笑顔でたくさんの女の子を落としてきたんだろうけど。
「私には通用しませんから」
女なら誰でも簡単に落ちるなんて思わないでほしい。
少なくとも私は、三浦先輩を好きにならない自信がある。