俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
「だから、余計欲しくなっちゃうんだよね~」
「……何をですか?」
「美月ちゃんのことに決まってるでしょ?」
ニコリ、と天使のような笑顔を浮かべる三浦先輩。
でた、キラースマイル。
そんな三浦先輩のことを呆れた顔で見ていた、そのときだった。
突然、背後から誰かに抱きしめられたかと思えば。
ふわっと香る、シトラスの香り。
え?誰?何?
突然すぎて、さすがの私も動揺を隠せないでいると。
「やっと見つけた」
「……っ!?」
耳元に響いた、甘い低音ボイス。
右側を見上げれば。
「……大地っ」
優しく微笑んだ大地の顔がどアップにあることに、息をのんだ。
「すみませんけど、美月は返してもらいますね」
大地は三浦先輩の方を見てそう言うと。
「あっちの席がちょうど空いて、とっておいたから行こう」
三浦先輩は何か言いかけていたけど、大地は私の手をとり、半ば強制的にその場から連れ出してくれた。