俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


この体制にたえられなくて、慌てて飛び退こうとしたのに。



「ダメ。俺から離れんの禁止」


「……っ!」



前からぎゅうっと大地に抱き締められてしまって、これじゃまったく身動きがとれないよ……。



「やっと美月と二人きりになれた」



大地の甘い声が耳元で響いて、全身が心臓になったみたいに脈打っている。


そのとき、この甘い雰囲気を一瞬にして壊すような機会音が鳴り出した。



「……大地のじゃない?」



私のは、バイブにしてあるし。



「ん、いい」



大地は気にせず私を抱き締めたままだけど、その機会音は今もなり続けたままで。


私の中で嫌な予感が働く。


もしかしたら、あの子……“志歩”って子からじゃ……。



「なんで出ないの?私に知られたら困る相手からだから?」



力づくで大地の胸板を押し、大地と顔を合わせる。



「そんなわけないだろ?」


「じゃあ、どうして……」


「もしかして、美月、ヤキモチ妬いてくれてる?」


「……っ、そんなんじゃ、」


「違うの?」


「……っ」



……それはっ。



「俺にだけは、素直になれよ」



……っ!









< 345 / 355 >

この作品をシェア

pagetop