俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
この体制にたえられなくて、慌てて飛び退こうとしたのに。
「ダメ。俺から離れんの禁止」
「……っ!」
前からぎゅうっと大地に抱き締められてしまって、これじゃまったく身動きがとれないよ……。
「やっと美月と二人きりになれた」
大地の甘い声が耳元で響いて、全身が心臓になったみたいに脈打っている。
そのとき、この甘い雰囲気を一瞬にして壊すような機会音が鳴り出した。
「……大地のじゃない?」
私のは、バイブにしてあるし。
「ん、いい」
大地は気にせず私を抱き締めたままだけど、その機会音は今もなり続けたままで。
私の中で嫌な予感が働く。
もしかしたら、あの子……“志歩”って子からじゃ……。
「なんで出ないの?私に知られたら困る相手からだから?」
力づくで大地の胸板を押し、大地と顔を合わせる。
「そんなわけないだろ?」
「じゃあ、どうして……」
「もしかして、美月、ヤキモチ妬いてくれてる?」
「……っ、そんなんじゃ、」
「違うの?」
「……っ」
……それはっ。
「俺にだけは、素直になれよ」
……っ!