俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~

突然横から声をかけられ、顔を上げると。


見覚えのある、人懐っこそうな笑顔。


日焼けした肌に、白い歯がよく似合っていて。


色素の薄い焦げ茶色の髪は、無造作にセットされている。



「俺、同じクラスの渡瀬タケル!タケルでいーよ、転校生」



そいつは、真ん丸の二重の目をくしゃりとさせて笑った。


そういえばコイツ、クラスでも目立ってたな。


美月のことは“マドンナ様”とか呼んでるし。



「おー、タケルな。俺のことは、転校生じゃなくて、大地でヨロシク」


「わかったよ、転校生。じゃなかった。大地、」



フッ。なんだコイツ。おもしろそうなヤツだな。


とか思ってると。



「おまえ、陸上部入らない?」


「陸上部?」



突然、何かとおもえば、部活の誘いだった。
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